2012年12月27日木曜日

秘密の花園






僕が通うインターナショナルスクールで

いろんな香りの消しゴムが流行っていた。



女子達は新しい香りの消しゴムを

買ってきては皆で嗅ぎ合い

「うわー、いい香り!!」

と、盛り上がっていた。



キンモクセイとかジャスミンとかの


可愛いらしい香りが教室中に漂っていた。




シャイな僕は

そんな女子達の花園に入れずに

只、眺めていた。






クラスで一番背の高い

前歯の大きな女の子がいた。

色白でどこか寂しげな

潤んだ瞳の紗音瑠ちゃん。


シャネルというキラキラネームだ。


僕は紗音瑠ちゃんに恋をしていた。



どうにかして気を惹きたい僕は

取って置きのモノを手に入れたんだ。







きっとまだ誰も持っていない

香りの消しゴム。


少し濁った黄色

大人っぽい黄土色


エキゾチックでスパイシーな香りがする

取って置きのモノ!!




そう、カレーの香りの消しゴム!!






5分休みに紗音瑠ちゃんの足元に

その消しゴムをさりげなく落としてみたんだ


「消しゴム落としたよ。」


と、紗音瑠ちゃんが白魚の様な手で拾ってくれた。


「ん?何これ?」


鼻先に近づけて匂いを嗅ぐ。


「ん?カレー?」


微妙な表情を浮かべる紗音瑠ちゃん...。



すると近くに居た女子達が

紗音瑠ちゃんのまわりに集まってきた。


皆でその取って置きを代わる代わる嗅ぐ。


「うわ!何これ、最悪!!」


「カレー臭!!」


ギャハハハ...と大笑い。



それから女子達にその取って置きを

カッターナイフで切り分けられて

持って行かれた...。



「紗音瑠、あんたもいる?」



色白でどこか寂しげな

潤んだ瞳の紗音瑠ちゃんは

小さく首を横に振った...。







2012年11月22日木曜日

中級者向け






一昔前の中国のイメージは

自転車である。

大量の人々が自転車で

道路を占拠していた。



最近、ここ日本でも

洒落た自転車に乗った人達を

良く見かける。


前にカゴの付いた普通のママチャリは

余り見かけない。


因みに私は66年式のクラシックカーに

乗っている。

私の方が洒落ている、、、。







一つ問題なのが

最近の洒落た自転車に乗っている人達が

結構わんぱくな運転をすることだ。

かなりのスピードで飛び出してくる


2、3人撥ねた。






そんな私も今年の夏、

久しぶりに自転車に乗ってみた。

昔乗っていたモトクロスに

颯爽とまたがり

夜の車道を駆け抜けてみた。


路駐している車を避けようとすると

後方からタクシーが

「ブッブー!!」とクラクション。

慌てて歩道に移ろうと

前輪を浮かし

すぐに後輪を浮かし

ジャンプを試みた...。


歩道の段差につまずいて

見事に頭から一回転。


トレードマークのハットがポーンと、、、、。


久々にこけた。


こういうときは

痛いよりも恥ずかしいのが強く

暫らくうずくまって周りに人がいないのを

確認して立ち上がった。



「あの~帽子、、、。」


と、若いカワイ子ちゃん、、、。






子供の頃に出来たことが

出来ないことにショックを受けて

アディダスに行き

オレンジ色の中級者向けのランニングシューズを。

汗を掻いてもすぐに吸収して汗を発散させる

オレンジ色のティーシャツと短パンの

トレーニングウェアーを。


「よし!!今日から走っちゃうぜ!!」


と、最近空手を始めた幼馴染を誘って

近くの公園へ。


「うーん、中級者向けは違うぜ!!」


と、張り切って走った。

見た目重視である。


1週走ってもまだまだ余裕である。

更にもう1週走ってると

急に足が上がらなくなった。



「ここ1週2キロ位あるやろう?」



幼馴染が

「ここ500メートル位よ、、、。」

と...。



以上なほどに汗だくで

ビチャビチャである。


「このシャツ駄目ぜ!!」


シャツのせいにしてひき上げた。



何故か3日後、背中がパンパンで動けない、、、。






それから3ヶ月が経ったある冬の日

玄関の飾りになっている

中級者向けのランニングシューズを見て

そろそろジョギングを再開しようと

意気込んでトレーニングウェアーを

着てみた。


「半袖に短パン。」


この寒い冬に、、、、。


これじゃ捕まるぜ、、、、。



66年式のクラシックカーに乗って

コンビニまでタバコを買いに

出かけることにした。





2012年9月3日月曜日

パラダイス412




「ギャンブルなんか辞めなさいよ!!」

と、良くオンナに言われた

俺は本物のギャンブラーだぜって

相手にしなかった.....






モクモクとたちこめるタバコの煙

耳を引き裂く大音量の音楽と

パチンコの機械音

ここが俺のホームグラウンド


スロットの島を偵察しながら歩いていると


「おおっ、兄ちゃん!7揃えてくれる?」


と、顔馴染みの4本指のおっさんに

呼び止められる。

ポン、ポン、ポンとリズミカルに

7を揃える...






ポツリと1台スロットが空いている


いつも俺が打つ台だ

暗黙の了解で誰も座らないのだ


因みに勝負機種は

パラダイス412と言う

スロットマシーンだ


スロット機なんか所詮

人間が作った物だ

知能指数の高い俺にしてみれば

機械の解析なんて

一瞬でしてしまう


今日も淡々とコインを入れ

レバーを叩き

リズミカルにボタンを押す


俺の体が一瞬ピクリと止まる





周りの客がチラリと俺のほうを見る

俺のコブラと異名を持つ

親指がボタンを止める




ピュンピュンピュン


777


周りの客の視線を背中に感じながら

俺はコインをザクザクと出していく






4本指のおっさんが

ロング缶の甘いコーヒーと

若いと言う理由でダブルクリームパン

を差し入れてくれた


すでに他のお客の目押しのお礼で貰った

ジュースで台の上の棚は一杯だ


ドル箱たっぷりに溢れたコインを

店員に運ばせる


今日も財布が曲がらなくなる






たいして飲まないのに

クラブに行って高いボトルを入れたり

100万持って

何となく旅行に行ってみたり

食事に行けば当たり前のように

皆におごり

日本なのに

店員にチップをあげたり

金銭感覚は

いつのまにか0が2つ増えていた



スロットの儲けで買った

マスタードイエローの愛車に

乗り込もうとするとふと視線がボンネットに留まる


パラダイス412


と落書きされてた


一瞬ムカついたが

確かにそうやね

と、微笑んだ


この余裕.....






しかしパラダイス412が

撤去されると何を打っても勝てなくなり

狂った金銭感覚も中々元に戻らず

1年間学校に行ってなかったので

留年するし

差し入れの甘いもので

21本も虫歯になるし

スロットのしすぎで腱鞘炎にもなるし


マスタードイエローの車を

運転してると

タクシーに間違われるし...




20年たった今

俺は人生のギャンブルにはまっている....



んっ?





2012年7月2日月曜日

ベンジースカート




きっと、誰にでも憧れの存在が在ると思う。



王、長島。

神様、仏様、稲尾様。

力道山、猪木、馬場。

マリリンモンロー

フィービーケイツ

ボブデュラン

アイコ。

モモクロ。

まゆゆ、、、、。







勿論、私にもただ単純に

好きなアーチストがいる。

ベンジーという

ギタリスト

ヴォーカリスト

アーティストである。


初めて彼の音を聴いた時の衝撃は忘れられない。


当時、自分自身もバンドをしてて、

クソ生意気なpunk野郎だった私は

邦楽なんてクソ食らえの若造でした。


ふと、見てたテレビに現れた3人組から

出てきた音の衝撃にポカンと

口を空けていたのを今でも覚えている、、、。







前のブログに書いたテレビ番組で

ulocoのストールが紹介されましたが

その時のタレントさんの中に

斉藤ふみさんという素敵な女性がいて

彼女のオリジナルの服のブランドで

ベンジーさんの絵でコラボした服を作るので

手伝ってくれませんかと誘われたのである。

ふみさんは熱烈なベンジーのファンで

ベンジーの絵をプリントじゃなくて

刺繍で出来たら最高じゃないかと、、、。



そう、最高ですよ。







ふみさんから渡された

ベンジーの絵をニヤニヤと暫らく鑑賞して

出来るだけ忠実に失礼の無いように

刺繍データを作っては

サンプル刺繍を入れて

またいつもと違う緊張感を味わいながら

作ったのである。


ここ最近でここまでベンジーの1枚の絵を

一番見た男は私だろうと自慢できる。




ベンジーが少しでも喜んでくれればと。

斉藤ふみの夢が叶うようにと。

世界中のベンジーファンに失礼の無いようにと、、、。







ベンジースカートのサンプルから

量産までさせていただいたので

責任重大でありましたが、


2時間足らずでソールドアウトしたと聞いて

ホットしました。





この場を借りてお礼を言わせてもらいます。

購入してくれた皆さんありがとうございます。

ふみさん、私もいい夢が見れました。


まさか大好きなベンジーの絵を

刺繍する日が来るなんて思いもよらなかったです。





最後にベンジー最高!!





井口 ケイスケ







2012年6月1日金曜日

テレビ








先日テレビに出た。



テレビ局のディレクターという

女性の方から電話がかかってきた。


「ちなみに~ちなみに~」

と、凄いちなみに~の使い手の方だ。



ゴールデンウィークに

トンコッツという色んなクリエーター達と

コラボで作品を展示してたのを見たらしく

ulocoのストールが気になったというのである。



知り合いの知り合いなので

社交辞令的に工場見に来て下さいと言ったら




次の日に



若い女の子4,5名、カメラマン、照明、マイク。。。。

本格的な撮影クルー達



総勢9名。



ドド~ンとお見えになられた。

「ちなみに~」

と言いながら、、、、。








内容としたら

番組の企画でお店をやるので

そこに置く商品を探して

若い女の子達が

「お店に商品おかせてください!

おねげーします!」

そこでOKだと私に皆でキスをする

と言うことみたいだ。


実際に出演者の女の子達は

何も知らないでやってきた。

おおまかな流れだけで

本当にぶっつけ本番である。






撮影が始まると

女の子達はスイッチが入ったかのように

ハイテンションでいちいちリアクションする。

5人の女の子達に囲まれて

ウハウハ状態のはずが

色んな質問に面白く答える余裕などなく

真面目に答えるのが精一杯で

慣れないこともあり

緊張で口がカパカパになったりして

大変だった。


しかし、10分位の放映の為に

3時間も撮影はかかった。

大変ね。







まー、ここだけの話



「ちなみに~、明日早速ですが見学ついでに

撮影してもいいですか~?」


の後からが私のバタバタとした

時間が始まったのである。



先ず、知り合いに電話して

番組のおおまかな内容を聞き、


ネットでも調べ、


美容師さんに今日の夜かっこよくしてくれ

と、予約を取り


バッチリ、髪を切り

カラーもして


取材用のストールとか作品の生地とかを

かき集め


携帯を肩で挟みながら

「明日テレビの取材やん、何着たらいいかいな?」

と、夜が明けていったのである。








「ちなみに~今から行きます。」

と連絡があり

それから洗面所で綺麗に

歯を磨き

ワックスで髪を整え

ギリギリまでメガネで迷い

スタンバイしてたのである。


本当にイイ人である。



無理して演出の為に着た

ハエ刺繍の上着は

照明で熱くて脱ぎたかったが

途中で脱ぐと

いかにもこの為に着てきた感が

丸出しになるので

我慢した。


男である。





結局、女の子達からのキスとかは

私の勝手な妄想だったようだ、、、。




斉藤ふみさん
許可無く載せてます。



kbcテレビドォーモのみなさん

お疲れ様でした。

私も疲れました。



前日に慌ててホームページを

作ってくれた兄貴

本当にありがとう。



番組放映後かなりの反響がありました。

色々とお問い合わせもありました。

本当にありがとうございます。

一時的な反響だと思いましたので

落ち着いた今に

お礼を述べさせていただいてます。




uloco  

井口ケイスケ





2012年5月9日水曜日

ビッグ?ウェンズデー





忘れもしない。

ちょうど6年前の今日

季節外れの台風がやってきた。


ここ数日天気図と睨めっこしながら

熱帯低気圧の動きに胸を躍らせた。



「このままいくとスゲえ波がやってくるぜ!!」



あっ、俺の名前はポニヲ

通称、ポッ君。

自慢のサラサラストレートヘアーの

サーファーカットがトレードマークだぜ!!

今年中学入学の13歳。

彼女無し、海が恋人だぜ。



窓を開けると異様なほど静かだ。

嵐の前の静けさってやつだ。


まだ夜明けまで時間がある、

一眠りしよう。


ドキドキして眠れないや、

牛乳をチンして飲むか。。。。。








ゴオオオオオオオオオオオオッ


灰色の重たい空

白く荒れ狂う海

ブルッ!

思わず武者震いしてしまう。


浜辺にはウエットスーツに身を固めた

サーファー達がボードを砂に立てて

大波が来るのを待っている。


俺も腕を組んで

仁王立ちで大波が来るのを待っていると



「坊や、それで海に入るの?死ぬよ。」


と、褐色の顔に真っ白な歯の男が話しかけてきた。


「えっ?」


「海パンじゃ死ぬよ。それにそのボディーボードじゃ

この波に飲まれるよ。」


「えっ?」


「小学生の頃から愛用の

スクール水着じゃ駄目なんすか?

母ちゃんに縫い付けてあった名前を剥がしてもらったんすよ!」


「このボードも一昨日買ったばっかりなんすよ!

ホームセンターで2980円だったんすよ!」






男は仲間達と大波の中に入って行き

ドルフィンスルーで砕けた波をかわし

6階建てのビル程の大波に乗っている。



「うおおおおおおおおおっ!!」

負けてらんねえ

俺もこのビート板みたいな奴に摑まって

バタバタと波に挑む。


「ううっ、乳首が痛い。。。」


歯を喰いしばって波を感じる。


一瞬身体が浮いた

今だ!!


勢いよく立ち上がる


「うわああああああああああっ!!。。。。。。。」







「ポニヲ!起きなさい、ポニヲ!」


はっ!と、目を開けると見慣れた自分の部屋だ。


「いつまで寝てるの?もう中学生なんだから

しっかりしなさい。」


そう言い残して母親は出て行った。


「ふぅー、夢か。よかった。」


「うん?何か冷たい。」


股間に手をやるとビショビショだ。



こそーっと暗い部屋のタンスから

手探りで下着を取って、あわてて履き替える。


何事も無かったかのように

学校に行き、体育の着替えをしてる時だった。



仲良しのジローが目を点にして

俺の下半身を指差す。


ふと視線を落とすと



真っ白なパンツのウエストに

小さなピンクのリボンが。。。



妹ごめんよ。。。。








ULOCOWORKS