2012年12月27日木曜日

秘密の花園






僕が通うインターナショナルスクールで

いろんな香りの消しゴムが流行っていた。



女子達は新しい香りの消しゴムを

買ってきては皆で嗅ぎ合い

「うわー、いい香り!!」

と、盛り上がっていた。



キンモクセイとかジャスミンとかの


可愛いらしい香りが教室中に漂っていた。




シャイな僕は

そんな女子達の花園に入れずに

只、眺めていた。






クラスで一番背の高い

前歯の大きな女の子がいた。

色白でどこか寂しげな

潤んだ瞳の紗音瑠ちゃん。


シャネルというキラキラネームだ。


僕は紗音瑠ちゃんに恋をしていた。



どうにかして気を惹きたい僕は

取って置きのモノを手に入れたんだ。







きっとまだ誰も持っていない

香りの消しゴム。


少し濁った黄色

大人っぽい黄土色


エキゾチックでスパイシーな香りがする

取って置きのモノ!!




そう、カレーの香りの消しゴム!!






5分休みに紗音瑠ちゃんの足元に

その消しゴムをさりげなく落としてみたんだ


「消しゴム落としたよ。」


と、紗音瑠ちゃんが白魚の様な手で拾ってくれた。


「ん?何これ?」


鼻先に近づけて匂いを嗅ぐ。


「ん?カレー?」


微妙な表情を浮かべる紗音瑠ちゃん...。



すると近くに居た女子達が

紗音瑠ちゃんのまわりに集まってきた。


皆でその取って置きを代わる代わる嗅ぐ。


「うわ!何これ、最悪!!」


「カレー臭!!」


ギャハハハ...と大笑い。



それから女子達にその取って置きを

カッターナイフで切り分けられて

持って行かれた...。



「紗音瑠、あんたもいる?」



色白でどこか寂しげな

潤んだ瞳の紗音瑠ちゃんは

小さく首を横に振った...。







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