小学生のころの文集に
クヌギの木になりたいと
書いてあった。
これを見た両親はどう思ったのだろう?
家の近所にクワガタや
カブト虫が採れる凄い木があって
皆の人気の虫取りスポットだった。
その木がクヌギの木であることを
知ったその日から
凄くかっこいい憧れの存在になり
いつか僕もこんな
素敵な人気のある
クヌギの木になりたいと思ったのだと思う。
何年か前にそのクヌギの木が
あった場所に行ったのだけど
見る影もなく
綺麗な墓地に変わっていた。
そのクヌギの木に
虫取りに行く前の日に
懐中電灯片手に
母親と甘い砂糖水を作って
塗りに行って
二人で甘い罠だね。
って、笑ってたね。
誰よりも早く起きて
走ってそのクヌギの木を
見に行っていた
あの夏の日を
今でも思い出す。
残念ながら
クヌギの木にはなれなかったけど
今こうして
その頃の憧れの
ヘラクレスオオカブトムシ
を刺繍してるよ。
母親はきっと喜んでくれてると思う。
クヌギの木になられるよりも....。
そして何よりも残念なのは
今は虫が全く駄目で
少しも触れない。
モテポイントマイナスである。